Trinity Tempo -トリニティテンポ- ストーリー



 その日の夜。
 阪井先生が帰った後、今日の練習は普段より早目に終了した。
 落ち着いて状況を整理したかったので、正直助かった。他の2人もきっと同じだろう。

「ん~……」 

 アタシは自室でストレッチをしながら今日の出来事をもう一度思い返す。
 不気味な酔っ払いオバサンが来たと思ったら、その人が初代蒼牙の阪井龍子で、これからアタシ達のトレーナーになる……。
 冷静に考えると、短い時間ですごい事になってるね……。
 思い出して苦笑いをしていると、チャットルームへのメッセージの受信を知らせるメロディが鳴った。
 ベッドの上の電話に手を伸ばしディスプレイを見ると、予想通りアリサからのメッセージだった。

・アリサ:『タイガ、リオナ、おつかれ~。(≧∇≦)o 今日は色々あってビックリしちゃった。Σ(・∀・;) 阪井先生ってすごい迫力だよね?(;゚д゚) 怖かった~((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル』
・リオナ:『特にオバサンって言った時、マジやばかったよね……。先生の前で年齢の話は禁句だわ……』
・アリサ:『あ、リオナがすぐにお返事くれた!v(≧∇≦)v わーい、うれしいなヾ(*´∀`*)ノキャッキャ』
・リオナ:『返信しないと、ずっとメッセージ来るからね』
・アリサ:『あ、ひどーい。ヽ(`Д´)ノプンプン まるでアリサが悪いみたい( ´д)プイッ』
・リオナ:『え?アタシが悪いの?』
・アリサ:『リオナもタイガもいつもお返事遅いんだもーん!ヽ( `Д´)ノ』

 アリサが早すぎるだけだっつーの……。
 心中でそう呟き、話題を変えるために文字を打ち込もうとすると、大河からのメッセージを受信した。

・タイガ:『私から見れば、2人とも早過ぎるくらいだが』
・アリサ:『あ、タイガやっと来たー( `・∀・´)ノ』
・リオナ:『お疲れ大河。落ち着いた?』
・タイガ:『それはお互い様だろう。阪井先生の事で、今日は全員が集中力散漫だったからな。だから練習を早目に切り上げた訳だが……。2人とも落ち着いたようだな』
・リオナ:『落ち着いたと言うか、実感がないと言うか。なんか変なカンジだね』
・アリサ:『アリサはもう大丈夫だよ!( ´∀`)bグッ! 家に帰ってちょっと寝たらスッキリしたの!スッキリヽ(*´v`*)ノ 寝たら目が冴えちゃったから、2人とも、今日は朝まで付き合ってね?\(^▽^)/』
・タイガ:『断る』
・リオナ:『やだよ!』
・アリサ:『けちんぼ。(´・з・`) ブーブーヽ( `Д´)ノ』
・タイガ:『……本題に入る。明日からの練習は学内選抜大会に向けて、よりハードな内容となる。阪井先生に指摘された点を各自忘れないように。私からは以上だ。それでは』

 そこまで受信すると、直後に大河のアイコンがルームから消えた。って、はやッ!
 とりあえず、大河が燃えている事だけはよく分かった。

・リオナ:『明日からの練習、マジできつそうだねー。……あー、次の休みいつだろ』
・アリサ:『タイガ、今日のお話覚えてるのかなぁ?(・_・?)』
・リオナ:『学内選抜大会が終わるまでは思い出さないんじゃないのー?』
・アリサ:『リオナ、残念だったねーヾ(・ω・`o) ダイジョウブ?』
・リオナ:『ま、アタシも阪井先生を見返したいし?大河ほどじゃないかもだけど、今日の事でモチベも上がったしね。だいじょーぶだいじょーぶ!』
・アリサ:『そっかー。(・c_・`) よーし、アリサもがんばるね(`・ω・´)✧』
・リオナ:『うんうん、がんばろーね。さってと……』
・アリサ:『それじゃリオナ!(´∀`*)ウフフ 朝までアリサとガールズトークだね!!((o(´∀`)o))ワクワク』
・リオナ:『マジで言ってたのそれ!?しないっつーの!アタシも落ちるよ』
・アリサ:『えー?(´・ω・`) 2人とも付き合い悪いよー。(´;ω;`)ブワッ アリサ、寂しいなー……・゚・(つД`)・゚・ ウェ―ン』
・リオナ:『はいはい、もう騙されないからね。おやすみー』
・アリサ:『え?ちょ、まtt』

 そこで、アタシもチャットルームから退室した。
 アリサの「寂しい」とか「悲しい」に騙されて、睡眠不足になった事は1度や2度ではない。マジで1度捕まると寝かせてくれないんだもん、あの子……。
 アリサには悪いが、明日からの練習に備えてストレッチを入念にしておきたい。
 3人で遊びに行くのも楽しみだけど、まずは学内選抜大会に勝たないとね。


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