Trinity Tempo -トリニティテンポ- ストーリー


「えー、コホン。みなさん、この度はあたしのお悩み相談会にお集まりいただき、ありがとうございます! 」
「オーホッホッホ! 完璧なリーダーであるこの九条院惺麗に何でも聞いてよろしくてよ!」
「虎谷大河だ。よろしく頼む」
「美柑だよ! 一年コンビは元気いっぱいだねー。よろしくー!」
「よろしくお願いします! 今日はいろんなチームのリーダーに集まってもらったんですが……あれ? 1、2、3、4人? ひとり足りない?」
「ぉお――い! すまん! 遅くなった!!」
「あ、来た来た! こんにちは長谷部さん!」
「ふぃー間に合ったぁ。いやわりぃわりぃ、すぐそこまで来てたんだけどさ、いい感じの茶屋を見つけちゃってさー。ちょっとだけと思って食ってたら、いつの間にか茶までもらって一服してたわ! わっはっはっは! これお土産で買ってきたからみんなで分けようぜ」
「あら、気が利きますわね。でしたらお茶を淹れさせましょう。平塚!」
「あたしこの桜餅がいいな! 食べるのがもったいないくらいのピンク色だよ~」
「……話が脱線しているようだが」
「!」
「あーそうそう。なんか葵が行けって言うから来たんだけど、これなんの集まりなんだ?」
「ブーケのリーダー、春日の悩みを皆で解決する集まりだな」
「そうなんです! じゃあ改めまして、今日はみなさんありがとうございます!」
「さっさと悩み聞いちゃって、みんなでパパッと解決しちゃお!」
「オーッホッホッホ! わたくしにかかれば十万馬力ですわ!」
「十万馬力?」
「惺麗ちゃん、期待してるね!」
「それでえーと、桜餅はなに悩んでるんだ?」
「『桜映』です! ――それがね! 香蓮が「衣装が入らなくなるから太っちゃだめ!」って言うんだけど、ついつい食べすぎちゃって体重増やしちゃうんです。でもでも、練習の後には甘いもの食べたいよね! だからみんなどうやってダイエットしてるのかなぁって。教えてください!」
「ふむ。ダンスをする者にとって体型維持は基本だ。そのためには、バランスのとれた食事と練習を欠かさず行うこと。その限りなら太ることはない」
「さすが蒼牙、王道な答えだね!」
「な、なるほど。バランスのとれた食事と運動ですね……が、頑張ります! 虎谷さんも体型維持は気を付けてるんですか?」
「ああ。見てみるか?」
「おお~~~」
「なかなか引き締まった腹筋ですわね」
「触ってみてもいいですかっ?」
「すまないがそれはできない」
「えい」
「………………なんともないが」
「一瞬くすぐったがってたよね?」
「見ました。可愛かったです!」
「オホン。また話が逸れているぞ」
「ちなみに一日のスケジュールってどうなってんの?」
「朝は5時に起きてランニング、6時には朝食だ。7時には朝練があるので登校する。放課後の練習は21時まであり、家に帰ったら反省点と課題をまとめる。これを毎日行っている」
「うえぇ。ムリムリムリ。朝は9時まで寝ないと頭働かないんだ私」
「それ学校行けてる?」
「良いダンスは良い身体から生み出される。健康的なサイクルを続ければダイエットなど考えるまでもないと思うが」
「頑張ります……!」
「わたくしにかかればその程度のスケジュール、夕飯前ですわ!」
「……つまり21時からの夕食が多いということか? 身体に悪いぞ」
「惺麗ちゃん、朝飯前って言いたかったんだよね?」
「それですわ!」
「ふむ、朝飯前と夕飯前か。すまない、汲み取れなかった」
「蒼牙に謝らせた! 九条院ちゃん何者?」
「わっはっは、私は甘いもの食べまくっても太らないけどな! いえいっ!」
「そういえば聞きました! 長谷部さんはお茶屋さんに行くのが趣味なんですよね? 甘味いっぱい食べても太らない秘訣はなんですか?」
「えー秘訣? なんもないかな」
「バッサリだ!」
「本陣高等学校は標高199mの山頂にあって、階段を登って登校すると聞いている。毎日登校するだけでもトレーニングになりそうだが、そのせいではないだろうか」
「標高199mを階段で!?」
「それって高いんですの?」
「いやまぁ、フツーだよフツー。なははは」
「練習前のアップに良さそうな運動量だな」
「うちのトレーナーはよく泣きながら駆け下りていくぞ」
「なんで!? あと絶対アップの運動量超えてるよ。ハイキングだよ!」
「ふむ……言われてみれば、理央奈もアリサも嫌がりそうだ」
「この九条院惺麗率いるステラ・エトワールなら容易にこなせますわ! さっそく明日からのトレーニングに取り入れましょう!」
「和泉さんも須藤さんも困るだろうなぁ……」
「それより喉かわいた! お茶まだー? 団子食べようぜ団子!」
「わたくしに指示するとはいい度胸ですわね。いいですわ! ダンスで勝負なさい!」
「お、喧嘩か? お前面白いな! いいぞいいぞ!」
「惺麗ちゃん頑張れー!」
「ちょ、ちょっとやめなよ! けんか良くない! 虎谷からも言ってやって!」
「ダンスか……(うずうず)」
「うずうずじゃないよ!」
「あ、惺麗ちゃん。平塚さんがお茶入ったって呼んでるよ! みんなで一緒に飲もう」
「あら、仕方ありませんわね。桜映に免じてここにいる皆さんにお茶をご馳走いたしますわ。平塚は日本茶も最高ですのよ。オーッホッホッホ!」
「あーあ、せっかくの喧嘩祭りだったのに、惜しかったなー。それより団子団子!」
「お祭りは好きだけどこういうのはダメー! 仲良くしなきゃ!」
「そういえば鳴宮さんはダイエットしてるんですか?」
「あたし? あたしは……むしろもっと太れってよく言われる……」
「あー。小っちゃいもんな!」
「!」
「ち……ちっちゃいって言うな――!! バカ――!!」
「あ、まって鳴宮さーん! ……走ってっちゃった」
「デリカシーがないですわね」
「コンプレックスを刺激するのは感心しないな」
「えー? 私そんなに悪いこと言ったかー? ちぇー……。おーい――」
「長谷部さんも行っちゃった……」
「それで春日、悩みは解決できたのか?」
「はい! やっぱりダイエットに近道なんてないですよね……地道に頑張ります!」
「そうだな。また困ったら相談に乗ろう。いつでも言ってくれ」
「ありがとうございます! これからもよろしくお願いします! 惺麗ちゃんも!」
「も……」
「も?」
「もう……」
「?」
「もーーーう! 我慢できませんわ!!」
「わわわっ! びっくりしたー!」
「どうした九条院。驚くだろう」
「全然驚いてないような!」
「――桜映!!」
「は、ハイ!」
「どうしてわたくしに意見を聞こうとしないのです!? わたくしたちはライバルであり、良き競争相手ではなくて!?」
「意味が被っているが」
「惺麗ちゃん……! そうだよね! 最初に惺麗ちゃんに相談するべきだったね! ごめん!」
「どうしたどうした? 喧嘩か? 喧嘩か?」
「いや。それよりなぜ鳴宮を抱えてるんだ。ちゃんと謝ったんだろう?」
「「わりぃ」は謝った内に入らないよ!」
「いやぁ、わっはっはっは。わりぃわりぃ。わっはっはっは」
「さあ桜映! わたくしに相談なさい! ぴしっと答えて差し上げますわ!」
「うん! じゃあ惺麗ちゃん、惺麗ちゃんはどうやって体型維持してるの?」
「それはバランスの良い食事と運動。あとは――――なんとなくですわ!!」
「それを訊きたいんだよ!」

–END–

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