Trinity Tempo -トリニティテンポ- ストーリー


「バレンタインのお返しはどうしたら良いのかしら…」
「やっぱり、返すもんなのか?」
「せっかくみんなから頂いた気持ちだからな。何かお返しをするのは、当たり前だとは思うんだが…」
「皆さん…、どうすればそんなにたくさんもらえるんですか?あたしは香蓮とすみれちゃんからもらったくらいなんですけど」
「とーぜん、それはわたくしが完璧で美しいからに決まっていますわ!」
「まあ、それはどうでもいいとして、欲しいって言ったわけでもないしなあ。届くものは受け取るしか、仕方ないよな」
「ちょっと、どうでもいいとは何事ですの?」
「ん?何の話だ?」
「今、わたくしの…」
「せ、惺麗ちゃん!まあまあ……」
「どうどう……」
「まあ、とにかくもらったからには返さないと、ということでいったん話を進めましょうか」
「もらう量が多過ぎると、なかなか返すのが大変ですよねえ。特に虎谷さんとか長谷部さんは大変じゃないですか?」
「ちょっと、桜映! わたくしが含まれてなくってよ」
「そっか、惺麗ちゃんもだね」
「貰ったものへのお返しなんてケチなこと言わないで、生徒全員に配ればよろしくてよ」
「それは九条院さんの家がお金持ちだから出来る事なんじゃないの?」
「あ! でもそういえば、あたしは校門前でみんなにクッキー配ったことがあったなあ」
「………なぜ」
「たくさん作ったから!」
「理由になってないぞ」
「相変わらず、桜映は良く分からない事をしますわね!!」
「それ、おもしろそうだなあ。餅撒きみたいに、屋根の上から撒くとかしたら、もっと面白そうだ」
「まるで大きな神社の豆まきみたいね」
「すごい! 同じ2月だし、それもいいかもですね」
「いや、節分はもう過ぎているがな…」
「そー言えば、節分って、普通は2月3日だと思うだろ?」
「え?違うんですか?」
「毎年2月3日だったと思うが…」
「わたくしでも2月3日だと知っていましてよ!」
「……」
「実は、2月2日になったり、4日になったりするって知ってたか?」
「えーーーーーーー?」
「……」
「何でですか?」
「何故ですの?」
「何故なんだ?」
「それはだなあ…もともと節分と言うのはだな…」(説明をしだす)
「ねえ、話の内容がずれまくってるんだけど?」
「いや、その話とても面白いな」
「わくわく」
「とても興味深くてよ!」
「揃いも揃って……(怒」
「どうどう……」
「すまない。話を戻そう。ありがたくも、たくさんもらう我々としては、それにどう応えるかが重要だ」
「期待に応えるには、ダンスでみんなに感動してもらうことですわ」
「確かにそうだな! まあ、もらう数からして、返すには限界があるしな」
「もらえる数は皆の愛情の数ですわ!」
「ありがたく受け取らせていただこう」
「けど……」
「けど?」
「それをどうやって全部食べるんですか?」
「あー、ウチは学校の先生とか生徒会のスタッフなんかにテキトーに持って帰ってもらうかな」
「それって、『スタッフがおいしくいただきました』ってやつ?」
「グルメロケ番組みたいですね」
「やはり、せっかく頂いたものだ。残したり、処分するのは良くないだろう」
「当然ですわ!残らずすべていただきますわよ」
「けれども、限界はあるな」
「だから、みんなに助けてもらわないと、という事ですね」
「リーダーたるもの、支え、支えられて、だからな」
「だからこそ、お返しも重要になるという事で」
「けど、誰からもらったとか、いちいち覚えてないぞ」
「それは長谷部さんだけじゃないかな」
「いや、実は私も把握は出来ていないな……」
「トラックにいっぱい……」
「わー、それはすごい! でも、そんなにあったら、やっぱりお返しが大変ですね」
「だから、それはもう全員にお返しを配ればよろしくてよ!」
「そもそも、もらうことを止めたほうが良いという考えは? 食べるのも大変、返すのも大変」
「特に、虎谷さんと長谷部さんは、ですかね」
「桜映、わたくしが入ってなくてよ」
「じゃあ、惺麗ちゃんも」
「じゃあ、ではなくてよ!」
「バレンタインデーのチョコ渡しを禁止する校則を作ってもらうとか」
「そうはいっても、そんな簡単には出来ないだろ。めんどくせーし!」
「そもそも、そういうのはブラック校則と言われはしないか?」
「確かに、プライベートなことではあるわね……」
「バレンタインチョコ、止めちゃったらお店が困るよ!」
「……困る?」
「チョコが売れなくなる!」
「それは……チョコ屋さん大変」
「そうかしら……」
「わたくしに素晴らしいアイデアがありますわ。ファンレターをいただけばよいのですわ」
「ファンレターかあ。それは食べなくて済むな」
「ファンレターを読んで、心温まる、という事か」
「お返しとか、考えなくていいし、それは良いな」
「でも、あたしだったらお手紙と一緒にチョコも渡しちゃうかも」
「それだと意味が無いじゃありませんの!」
「もう。とにかく、チョコをもらうのは禁止!」
「えーーーーーー!」

–END–

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