Trinity Tempo -トリニティテンポ- ストーリー


「ちょっとちょっと! みんな聞いてきいて!」
「どうしました?」
「どうもこうもないよ! ゆずってばホントわがまま!」
「ゆずって、鳴宮さんの妹の柚葉さん?」
「そう! あたしのカチューシャをあげようとしたら、『お姉ちゃんのは子供っぽくなるからいらない』とか言って! もー生意気!」
「あらあら」
「でもおさがりってだけで嫌がる妹弟も多いし? 柚葉ちゃんもそうなんじゃないですか」
「ううん! そんな感じの断り方じゃなかった! じっくり見てから返してきたもん! じとーって見て。じとーって」
「何だか違和感がありますね。鳴宮さん……柚葉さんは、鳴宮さんに向かって子供っぽいなんて絶対に言わないって思ってましたけど」
「何か怒ってたんじゃねーの? ケンカしてたとか」
「いやいやケンカなんて……してたけど」
「それじゃん!」
「あ、それで仲直りしようとカチューシャを……ですか?」
「そう。ゆずが前に欲しがってたのだったから、機嫌直してくれるかなーって」
「や、逆でしょ。仲直りしてからプレゼントが鉄則!」
「そうなの?」
「そうですね。ケンカの後は素直になれないですから、少し経ってからまたプレゼントしてみたらどうですか?」
「そっか。わかった! やってみるね!」
「なるほど……私も勉強になりました。私の妹弟は欲しいものが手に入るとすぐ泣きやむので、これから大きくなってきたら気を付けないといけないですね」
「ふふ、水川さんの妹弟はまだ小さいんだったわね。私の弟もいつの間にか生意気なことを言うようになったから、水川さんの妹弟もすぐだと思うわ」
「注意してよく見ていないと、ですね……」
「ふふ、そんなに真面目になりすぎることはないわよ」
「そういうのわかんねーな。弟妹の機嫌取りなんてやったことないぜ」
「お互い理解しあってるからケンカしないってこと?」
「そうかも? ケンカっていうケンカはしたことないな。せいぜい遊び程度の取っ組み合いくらい」
「それは……十分ケンカじゃないですか?」
「いやいや、ぜんぜん! 怪我したことないし」
「させてないとは言ってない?」
「姉弟はなかよく、ですよ」
「わははは。でもさ、上下関係は常にはっきりさせとかねーとな」
「言い方はアレだけど……まぁ、そうだよね」
「美柑さんまで。もしかして他のみなさんもですか?」
「わかるわかる。やっぱお姉ちゃんとして負けるわけにいかないもん」
「うふふ。迷ってる様子が可愛くって、つい意地悪したくなるものね。薬師堂さんはそう思うことないかしら?」
「そうですね……双子だから、かな。姉としてしっかりしなくちゃと思うことはいつもありますけど」
「それもお姉ちゃんあるあるじゃない? 妹弟にカッコ悪いとこ見せらんないし」
「ええ、お姉ちゃんあるある」
「あるある! 弱ってる姿とか見せたくないよね。特に泣き顔とか!」
(よく見てる気がする……)
「――ええと……『お姉ちゃんあるある』といえば、10個くらいまとめたものをトリテンッターで見かけたんですけど、共感できる部分がいくつもあって面白かったです」
「ああいうのって結構見ちゃうよね」
「お姉ちゃんあるあるってなんだ?」
「お姉ちゃんが共感できることをまとめたもの、かしら」
「ふーん。例えば?」
「長女は『責任感が強く、抱え込みがち』だそうです」
「当たってるわ。他には?」
「『頼まれごとを断れない』というのもありました」
「すげーわかる! そうか、それ私が姉だからだったのか。なるほどなー!」
「いやいや、まだ一般的な内容でしょ。他にはないの?」
「『甘え下手だけど寂しがり屋』というのはどうでしょうか」
「わかる! 甘えたい時でもゆずとまいまいが見てるかもって思ったら甘えられないよね」
「弟が甘えてるのをみると、ときどき羨ましくなっちゃうかも」
「水川さんは、まさに長女って感じですね」
「薬師堂さんもそう思いますか? 実は自分でも驚きなんですが……このお姉ちゃんあるあるなんですけど、ほとんど当てはまったんです」
「あはは。お墨付き、ですね」
「水川さんの甘え下手エピソード聞きたい人ー!」
「はーい!」
「ええと、パス――はダメなんですか。そう言われてもすぐに思い出せるものがなくて……」
「だいじょうぶ、鷹橋ちゃんがお手本見せてくれるから!」
「ちょ! ア、アタシは甘え下手でも寂しがり屋でもじゃないし! ないない!」
「ウソツキの匂いがするぜ」
「ぺろり。自分から寂しがり屋じゃないって言うところ、怪しいねぇ」
「私も鷹橋さんのお話聞きたいわ」
「さて、家族の話? チームの話ですか? それとも――?」
「な、ないないない! ないってば! むしろなんにもないっていうか……なんで大河とアリサはあんなにモテるんだろっていうか」
「鷹橋ちゃんも人気じゃん! アタシの友達も鷹橋ちゃんのダンス動画、携帯にいっぱい集めてるよ」
「それも嬉しいけど……って、アタシの話は終わり! はい次、水川さん!」
「そう言われても、私も何もなくて……むしろ、結構甘え上手だと思います」
「うそでしょ? じゃ、じゃあ甘え上手エピソード、なにかある?」
「そうですね……最近のことなんですが」
「うんうん」
「練習で帰りが遅くなる日がちらほら出てきたので、妹たちの晩ご飯の用意を代われるか、前もって母に相談するようになりました」
「あら」
「まだまだエピソードとして弱い印象、かな」
「もっとパンチ効いたのない?」
「ええと、これは結構恥ずかしいんですが……ウィッシュや衣装代も両親に出してもらっています。初めは自分で出すつもりだったんですけど、父が甘えなさいって言ってくれて」
「うーん……」
「甘え上手のエピソード、かなぁ」
「ほら、やっぱ水川さんは甘え下手!」
「いえ、待ってください。もう一つありました」
「なになに?」
「桜映や香蓮が一緒のチームでダンスをしてくれること。二人には当たり前のように気兼ねなく何でも言えるから――二人の優しさに甘えているから、私は甘え上手です。……ですよね?」
「いい話じゃんー!」
「ちょ、美柑ちゃん泣くの早すぎ!」
「三人は親友同士だものね」
「いや、チームメイトに気兼ねしないのは当然だろ」
「ああ長谷部さん、しーっ」
「――はい、それじゃ判定! 満場一致で、水川さんは甘え下手ってことで!」
「ええっ!?」
「すみれちゃん基準だったら、あたしなんて商店街中に甘えてることになっちゃう」
「アタシは日本全国になるかも」
「私は誰にも甘えないし甘えさせないぜ」
「人それぞれだけれど、水川さんももっと甘えていいのよ。きっとね」
「そうですか……考えてみます」
「――あれ? 美柑さん、携帯震えてますよ」
「メールかな? ゆずからだ! なになに――『美柑お姉ちゃん、さっきはごめんなさい。やっぱりカチューシャもらっていい?』だって!」
「良かったですね! これで仲直り」
「一件落着だな!」
「そもそもなんでケンカしてたの?」
「んー? いやまぁその……そろそろゆずも姉離れしないとねって言ったら、姉離れしてるしてないの言い合いになっちゃって」
「じゃ、美柑ちゃんも早く会いたいっしょ。そろそろ解散しよっか!」
「ありがと! それじゃみんな、おつかれー!」
「おつかれさま(でした)ー!」

–END–

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